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短い悲鳴があがった。
血飛沫が八方に飛び散った。
瓜生は自分の顔面に化け物の血と肉片が付着するのを感じた。
成功だ……。
瓜生は勝ち誇るというより脱力感を覚えてその場に膝をがっくり落とした。
頭がぼおっとして、自分が何をしたのか確認しようとも思わなかった。
数分後。
ばたばたと足音がして、続いてドアを激しく開ける音がした。
声にならない悲鳴と喧騒が渦巻いた。
――警察だ。警察を呼べ!
やがて男の興奮したような声が聞こえた。
なあに、怪物を一匹、片付けたまでのことだ……。
瓜生は周囲のどよめきとは対照的に、やや落ち着きを取り戻し、自分の手柄を確かめようとしてベッドのほうに目を向けた。
シーツのうえには、手足をだらんと伸ばした女の肢体が横たわっていた。傍らには白い花をいくつもつけた蘭の株と、血に染まった素焼きの鉢が転がり、ミズゴケや培養土がこぼれている。
女の頭部を中心にどす黒い血溜まりができていた。女の鼻と右の頬から額にかけて、赤黒い肉片が爆ぜ、血膿にまみれた生白い眼球が垂れ落ちかけていた。
怪物の屍骸らしきものは、どこにも見当たらなかった。
どういうことだ……。
瓜生はもういちどシーツのうえを見回した。
しかし、飛び散った肉片と血は、明らかに女のものでしかなかった。
雨音が耳朶によみがえってきた。
(28)に戻る 続く
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update 2008/04/13
:: 小説『すぺるまの雨の降る夜』
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